都内から電車で1時間もかからないところに、山と海のレジャーが一緒に楽しめる無人島があるってご存知でしょうか?神奈川県横須賀市が管理する無人島の「猿島(さるしま)」です。森の中を散策する、旧日本軍の要塞跡地めぐりが観光のハイライトですが、海釣りや磯遊び、夏には海水浴もできる、日帰り観光の島です。今回はそのうちの森林散策についてのご紹介です。
猿島観光といえば、旧日本軍の要塞跡地巡り!
猿島の森の中にある、旧日本軍の要塞跡地です。
うっそうとした緑に隠れるように、緑に苔むした古い要塞が残っているんです。
切通しの要塞とは?
切通し(きりどおし)というのは、山や丘などを切り開いて通した道のことです。切通しといえば鎌倉が有名ですよね。山に囲まれた地形の鎌倉は、守りやすく攻めやすい地形だけれど、人の往来としては不便なため、山を切り開いて道を作ったそうです。
さて猿島ですが。
ここの場合は、要塞の存在が外から見えないようにするために切通しにしたようです。
つまり山の上に軍事施設を作ると見えてしまうので、岸壁を彫り込んで下に造ったのです。ですから島の外からは緑の山々が見えるだけで、そこに要塞があるとは分からないのです。
切通しの両側は崖になる↓
愛のトンネルが暗いのも要塞ならではの理由
要塞の森には、長さ90m、幅4m、高さ4.3mの総レンガ造りのトンネルがあります。「愛のトンネル」と呼ばれているそうです。
暗闇の愛のトンネル内部
明るいところから暗い所に行くと、目が慣れずにしばらくは真っ暗に見えるものですが、このトンネルも同じです。トンネルに入った直後に照明が少ない(というより無かった気がする)ので、まっ暗闇状態になり驚かされました。この時カップルは、自然と手を取りあうので「愛のトンネル」と呼ばれているそうです。
真っ暗闇になるこのトンネルというのも、実は要塞ならではだそうです。敵の侵入を防ぐために、わざと暗いのです。
上の写真を見ると、トンネルの先に傾斜があり、出口が少し下がったところにあるのが分かりますか?これは、傾斜をつけることで出口の光が入口に真っすぐ入らないようにしたからなのです。だから、中が真っ暗なのです。
※写真は出口が見えた頃に撮ったもの
なるほど、要塞ならではの構造なのですね。でもこれを知らずに歩いていくと、全然気づかずにスルーしてしまいます。(実際私は行ったあとで知りました…)
歴史的観光地に行っていつも思うのですが、先に調べて行けば、本当に楽しさ10倍の旅行になるよなぁ、と。毎回そう思いつつも、なかなかできませんが。
フランス積のレンガ建造物は、全国的に貴重
愛のトンネルなど、猿島のレンガは、フランス積(正式にはフランドル積)という方式で積まれてます。今回初めて、レンガの積み方にも方式名があることを知りましたが、他にもドイツ積、イギリス積、オランダ積など、様々な積み上げ方があるようです。
どうやら積み方により、外側(外観)から見た時の文様が変わったり、内部の強度や温湿度調整にも違いが出るようです!知らなかった…!
で、猿島のフランス積はというと。
レンガの壁が、ツー、トン、ツー、トンと長手と小口が交互に積まれています。美しい外観の文様ですよね。
フランス積のレンガ建造物は、猿島の他に、世界遺産登録の「富岡製糸場」など日本全国でたった4件だけだそうです。そんなに貴重だとは…驚きですね。
撮影ポイントが多い猿島で一番有名なのが、この三叉路!
愛のトンネルを抜けて、振り返ったこの地点が、猿島で最も有名なフォトスポットといえるでしょう。右が愛のトンネル、左が展望台方面へと続く、三方が全てトンネルの三叉路です。さすがに有名な撮影スポットとあり、人通りが途切れる瞬間の撮影を待つ方もいました。
壁はすっかり苔むし、シダの葉も自生しています。この日は真夏にもかかわらず、森の中は少し冷ややかで、湿り気がある空気に包まれてています。
木々の隙間から日光が漏れて線状に降り注ぎ、神々しいとか、幻想的な雰囲気の場所と感じる人も多いと思います。猿島の要塞跡地は、ラピュタの世界のようだとも言われています。そのため観光目的以外でも、撮影目的で訪れている人も多いようです。
専門ガイドさんによる島内見学ツアー
猿島には、島の歴史を知り尽くした専門ガイドさんが常駐されており、1日2回ツアーが実施されています。兵舎や弾薬庫内は見学ツアーでしか入ることができないようです!各回45分程度の所要時間で先着60名の受付です。
無人島・猿島 史跡見学ツアー(予約不可・当日受付のみ)
https://www.tryangle-web.com/sarushima/tour.html
・1回目のツアー10:45受付開始
・2回目のツアー12:45受付開始
・料金:300円(案内料・保険料込)
私も次に訪れた際は、ツアーに参加したいと思いました!